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中川 伸 |
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音の大小による摩擦力は意外にも大きな変動でした。レコードが回転すれば針を引っ張りますが、しかしアームは引き止めているので移動はしません。でも力は加わり、しかも音の大小によって引っ張る力は変動します。さて、その変動幅がどのくらいかを調べたくて実験をしました。
小さい力を正しく測定するには測定系の摩擦が少ない事は重要です。そのため、静止摩擦が無い流体上で測定をしました。水に浮かべるので、写真のように割り箸3本と爪楊枝1本とピンポン玉4個と5円玉16個で作りました。この取り付けは、M3の30mmのボルトとナットを使いましたが、結束バンド2本でもokです。
組み立てには、瞬間接着剤と両面テープとカッターナイフを使いました。適当なサイズの水槽を用意しますが、壁面は斜めになっているので段ボールの厚みを利用して垂直補正をしました。肝心の電子天秤は、現在だと量産効果によって安価になっております。0.01グラム単位で最大200gのものがアマゾンにて約1,000円で入手可能です。このままでも使えるのですが、ダイソーのアルミクリップスケール(110円)を曲げて切って貼り付け、よりベターにしました。
そもそも電子天秤はどこに置いても同じ値になるようストレインゲージによる平行四辺形構造(ロードセル方式)になっています。動作をチェックするには1円玉が1グラムである事を利用して何個か置いてみて確認しました。水には粘性抵抗が有るのですが、この秤は硬くて変位量が少ないため、これも無視出来ます。
使ったカートリッジはDL-103なので、丸針で針圧は2.5gです。予想だと表示は安定すると思いきや、かなり変動してなかなか安定しません。音楽は音量が一定ではなくピアノフォルテがあるからです。少し見ていると結構な幅があります。とりあえずの印象では、針圧2.5gに対してメゾフォルテで1.5g位メゾピアノで0.8g位?でした。
内周と外周では異なる可能性はあります。それから針先の形状が楕円針やラインコンタクト針ではまた変わる可能性があります。精密な測定をするには、一定振幅と無音溝の入ったテストレコードが必要でしょう。測定方法は確立できたようなので、結構面白く、皆さんも測ってみてください。このやり方は中川式摩擦測定と呼んで下さい。
インサイドフォースとスケーティングフォースを混同していたり、音の大小によるアームの振る舞いについては、かなりの誤解があります。インサイドフォースは、非常に良く出来たひっかけ問題のようです。そのため正しい認識するための第一歩として、変動幅を知る事は意味が有るので、これは第一歩です。
正しい認識のために、古くはオルソニック(現オーブレー)からサイドフォースチェッカーが販売されておりました。実は私も使っていて、理論からの空想よりも確実に正しいです。でも、今は製造中止なので、めったに市場には現れません。
そのため、サイドフォースチェッカーを近日中に発売します。写真から分かるようにシュアーのM44シリーズ用の交換針を使い、マグネット部の両サイドに磁気センサーを設置し、その電気信号から演算をして、LEDの点灯ポイントを切り替える方式です。音も聴けるようにしますので、音量とサイドフォースの関連が正しく認識できます。予定価格は税込み66,000円を予定していて、50台のロットなので売れ行き次第ではそのまま終了になります。関心を持たれましたなら販売店様か当社にご連絡をお願い致します。(2025年9月1日)
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