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トーンアームに密着合体する世界初のヘッドシェル 中川 伸

 トーンアームには、ヘッドシェル交換が可能なタイプと、トーンアームにカートリッジを直接取り付けるタイプとがあります。海外の高級機はガタつきを生じない後者が主流です。しかし、日本ではカートリッジ交換を楽しみたい方々が多いようです。カートリッジは、ボディーが振動しないよう、しっかりとホールドされ、振動するのは針先、という感じになれば、より理想に近い再生が可能となります。ヘッドシェルに対してはいろんな考えもありますが、オーソドックスなのは前述のようにしっかりとホールドするという考えです。
 普通のヘッドシェルは上の1ピンだけを引き込む構造ですが、それだと下側に隙間が生じてしまい、グラグラします。ゴムリングでその隙間を埋めるという考えもありますが弾性合体になって、鈍い音になってしまいます。そのため意図的にゴムリングを外して使う方々も多くいらっしゃいます。私もその1人ですが、外し派?としてよく知られている方々は江川三郎氏、池田勇氏、柴崎功氏といったところでしょうか?私は2ピンにすればしっかり合体するものと思い、実践していましたが、実際には光を裏から当てて、ルーペで注意深く観察すると上下のどちらかに隙間が生じていることは結構多く見受けられます。これはアーム側の止めリングの内部が磨り減ったり、誤差があったり、ピンが曲がったりで、結局は曖昧な嵌合になってしまっていたのです。0.01mmといえども隙間が生じていればもう無意味です。
 そこで考えたのが写真のような構造です。上のピンと下のピンは一体化した金具になっていて、中間の凹みを通じて水平に設けた第3のピンを引き込みます。金具はシーソーのような動きが可能になっているので、これによって誤差を吸収し、上と下のピンは均等な力で引き込みます。よってヘッドシェルのリング面とトーンアームのリング面は全周で密着合体するという訳です(特許出願番号 特願2014−246284)。
 さて、音質ですが、驚くほどに低音がしっかりとし、ズーンと深く沈み込むようにもなります。リズム感の良いコントラバスは実に快感です。これまで2ピンに加工した直後はヤスリで誤差を調整していたのですが、長い間に少しずつ磨り減ったり、曲がったりで、誤差が増大していったのでしょう。油断大敵でした。なるほど!海外の高級機はガタつきを嫌がっているのも当然です。でも、音は活字では伝わりませんので以下の提案をしてみたいと思います。
 細いゼムクリップかホチキスの針の直線部分を10mm位に切断し、下側の隙間に水平に挟み込んで締め付けてみてください。ガタつきが減るので似た効果は得られると思います。ただし、この密着合体には及びませんし、バーチカルアングルも少しは狂いますので、あくまでも応急処置程度にお考えください。それでもこの延長線上の音になることは推察できると思います。
 以上の事情から急遽ヘッドシェルの販売を始めることになり、作り慣れている加工所も見つかりました。嵌合部のサイズは一般的なφ11.5と汎用性があるので、口金部のみの販売もゆくゆくは考えております。また、SPU-GEやXL-55 proのようなシェル一体構造のものにも後加工は可能です。ただし、ピンではなく、ステンレス板を加工したFR-7やオーディオクラフトのヘッドシェルなどは後加工が不可能か困難です。試作品は自分で加工しましたが、私自身は時間が取れないので、臨機応変に精密加工が可能なところを近場で探しているところです。ユーザー側に立てば、気に入って使い慣れているヘッドシェルもお持ちでしょうから、後加工サービスはきっと喜んで頂けるものと思っております。ヘッドシェル一体型カートリッジの後加工は、針カバーを一緒でお願い致します。
 ヘッドシェルと口金部の価格は見積もりが出ないと分かりませんが、後加工費は6,500円に税と送料付近を予定しております。3個以上だと1個あたり5,500円程度の予定です。正直、私のオーディオ人生でこれほどコストパフォーマンスの良い事はあまり経験がありませんでした。注意点としては、後加工したものは元に戻せないのと、2ピンになって摩擦が増えるので、意識して強く締め付ける必要はあります。取り付ける際にもワインのスクリューキャップを締める要領でヘッドシェルを押しながらリングを逆方向に1回転させてから正方向に回すとか、上下に動かしながら押しつつ締めるなどの、ちょっとしたコツが必要です。きちっと密着したかどうかはヘッドシェルを上下に少し動かすとグラグラしているか一体感があるかで確認できます。当然ながらゴムリングを付けたたままだと密着合体の意味が薄れるので外します。この名称は密着シェル、ミッチャクシェル、MITCHAKU SHELLです。
 なお、水平を正しく合わせるとセパレーションが良くなって広い空間が再現されます。ヘッドシェルの平らな部分にストローを乗せると水平が確認しやすくなります。針圧もメーカーの推奨範囲内で必ず使うようにしましょう。レコードを洗うのは驚くほどに鮮度アップします。
 密着シェルにご興味を持たれましたら、フィデリックスまでご連絡をお願い致します。(2014年11月29日)

  
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