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真のサイドフォース動画の結果をアップします。   中川 伸


先ずは簡単な説明からです。1番下はMC-F1000を0 SideForceに取り付けた約20分の動画です。これはLEGGIERO、TRUE PHASE 、LB-4a、ARIETTA を経た音を iPhone 13 Pro Max にて空気録音したものです。使ったレコードは2018年暮に50年以上を経て著作権が消滅したプリーズリクエストです(1964年録音V6-8606)。針圧は、1.7gですが、プチプチノイズや痛みやソリが有るのはご了承下さい。本来は音の強弱の参考用なのでマイクは横向きだったかも?


真のサイドフォース動画

でも分かるかなー?この最外周はトラッキングエラーが10°位で、従来だとだと歪むと言われていました。でも、トラッキングエラーが0°になる60%ほど進んだ付近の音と比べても私はレコードの痛みこそ感じますが、歪みは感じません。皆さんどうですか?(トラッキングエラー理論の詳細な説明は最後にて)。しかし、ピアノの左手やコントラバスが明瞭で、リズム感が心地良いです。はっきり言って生音に近く、これこそがピュアストレートの音だ!と言えます。曲がったアームだと低域は甘く膨らんだ感じになり、コントラバスの音階は明瞭度が後退して全体がレトロな雰囲気になります。

以前は、アームによる音の違いをこのHPで聴けるようにしていたのですが、いつの間にかセキュリティーが厳しくなったらしくて、今は再生が難しいようです。そのうちに改善して再度、音を比べられる様にする予定です。

さて、中段はORSONICのSIDE FORCE CHECKER(以下CHECKER)で0 SideForceに於けるトレース動画です。センターが少し右にずれているのはCHECKERの感度が高くて水平がきちっと取れていないからです。リフターで上げるとセンターになり、止めた盤へ乗せるとセンターから少し右にズレます。ここから盤を回してももう移動はせず、さらに内周に向かっても同じ位置で、しかも安定しています。これこそが0 SideForceの意味です。どうですか?従来、サイドフォースと思われていたものは盤が押す半径方向のradius forceであって、カンチレバーに加わるside forceではなかったのです。アームレストに固定した状態でコヨリのようなもので、針を押せばカンチレバーは曲がりますが、リフターで上げてレコードの上まで持っていき、そこでコヨリで押せばカンチレバーが曲がる前にアームが動いてしまいカンチレバーは曲がりません。やってみれば0 SideForceの意味が瞬間に理解できるでしょう。アームを固定しなければ、カンチレバーを曲げるモーメントは生じません。

1番上はインサイドフォースキャンセラーをオフにした状態のFRー64Sでトレースさせている時の動画でCHECKERの針圧はいずれも2.0gです。光の反射で数分間は針の動きがよく見えませんが、4分ぐらい経つと見え始めます。針を下ろすとCHECKERのメーター内側に寄り、ほぼ同じ位置でずっと盤の終わりまで変わりません。これがインサイドフォースで内側から押す力が勝るのでカンチレバーは必ず外に向くのです。これを直すべくアームを外側に引くことでバランスをとるのがインサイドフォースキャンセラーです。頭の数分間は規則的な揺れがありますが、これはソリや偏心の影響です。

前半はやけに規則的な横揺れをするのですが、この動きは必ずしもピアノフォルテとは一致しておりません。低い周波数の成分は多分3Hz位で共振していて、f0は低くQ0は高く、横揺れが止まり難いように見受けられます。何故かと言えばメーターの感度を上げるためにコンプライアンスを非常に大きくしている感じです。柔らかいバネに錘をぶら下げると、硬いバネにぶら下げるよりも、よく伸びて振動がゆっくり長引く原理です。

しかし、半分を過ぎると、規則的な揺れは小さくなり、インサイドフォースはメーターが内側へ向かったまま、つまりスタイラスは外側に引かれた状態が続き、後半になると音楽のフォルテピアノと同期して、フォルテ側になると、メーターは内側へ動く感じが見え始めます。ただこれは空気感録音とは時間が合っているかどうかは定かではありません。でも空気録音と同期している気はします。

これこそが問題にしていたもので、以前に聴けていたOneDrive音源で聴き直すとアタックが決まりにくく、とくに低音が決まりにくく、勢いが後退するとの印象を受けました。これはFR-64Sだからではなくて、FIDELIXで作った曲げた試作品でも傾向は同じです。

私はアームの発売にあたり、当初は曲がったのと、ストレートの両方を作り、ユーザに選択してもらうつもりでしたが、実際に聴き比べると、曲がったものは発売する意味が無いとの判断に至りました。ヤマハはGT-2000では選択的でしたが、GT-5000ではピュアストレートのみになりました。

ちなみにGT-2000用ストレートアームのYSA-2は似鳥高司氏が設計しました。この方は元NHK技研でDL-103の開発に携わり、ヤマハに転職後はMC-1Sから始まったヤマハカートジジほぼ全てに関わりました。その方が社内ではピュアストレートの優位性を熱弁していたとのことです。

以下のイラストは、ざっと書いたものなので、十分では無いですが、重要な部分については理解できるかと思います。ただし、これでも納得できない方は既成概念が強すぎて無理かもしれません。

今回のテーマは、わかる方には最初の模型の動画でも一瞬で分かりました。分からなければ納得いくまで自分で同様のものを作って実験してみてください。論より証拠です。

フォルテ側でカンチレバーが外に向くのは、同時にスタイラスは前に伸びていると云うことが重要なのです。同時に時間は伸びていると云うことなので、時間揺れが生じている、つまりジッターが生じていると云う事なのです。デジタルオーディオでは、水晶発振器の極わずかなジッターまでも問題にされております。

これ音楽にとって非常に重要な部分なので、いつも生音に接している音楽家の方は瞬間に分かると思います。そしてスマホとかPCでは聴けても、音の再生は不十分な場合があるので、違いが良く分かるとは限りません。必ず本格的なオーディオ機器で比べてください。そして音学にうるさい人、特に低音楽器のリズム感にうるさい人と一緒に聞いてみてください。これが見落されていた問題だと云うことを提案したいと思います。曲がったアームは、連続サイン派で調べる限り悪い現象は一切出て来ません。

何よりも音楽を聴くことが1番大切だと思います。つまりいろんな事は今回の件のようにトラッキングエラーが良ければ全て良しではなくて、何かを良くすればば副作用もあります。それぞれにメリットデメリットがあって、人間にとって何が大事かを総合的に判断することが大切です。音楽に近い人が聴いての意見はとても大事だと思います。何しろオーディオ機器は音楽を聴くためのものですから。

もしもアームの取り付け位置を30mmほど後方にずらせられるなら、カートリッジを約20°左回転させれば、ほぼ擬似ストレートアームに近くなると思います。そこまで回せなければ、内側のネジ1本でカートリッジを取り付けても良いと思います。できる環境の人は、やってみてください。ただし、従来のアームは軸受けの保護用としてゴムをクッションに使っていて、前後方向に弾力を持ってしまっているアームは数多くあります。そのため、擬似ストレート化の効果が十分に発揮できるかどうかは少しの疑問もありますが、マシにはなるとは思います。あれこれ考えるより実行して聴いてみることです。下手の考え休むに似たりとも言います。

AIは、進化していますが基本的には多数決を拾ってきます。革新的な論については正しくなるまで時間は掛かると思いますが、ユーザの感想についてはかなり参考になると思います。試しに「フィデリックスのアーム 0 SideForce の評判は」で良いと思います。あるいは「フィデリックスのMITCHAKU-Zの評判は」で良いと思います。

実は、カートリッジの針を延長した工作物を作りました。写真2枚と動画1枚がそれを表しています。これなかなか面白いです。振幅はオルソニックの5分の1程度になりますが、ルーペやスマホにマクロレンズを付けるなど光学的に拡大して見えますから、とても良いように思います。コンプライアンスが高すぎないのでフラフラするのも抑えられ、しかもカートリッジですから、リアルタイムで音が出せるので、音量との関係も聴きながら揺れが分かり、なかなか面白いです。つまり想像が現実になるのです。更にインサイドフォースキャンセラーの量も正確に合わせることも出来ます。アームを上げた時とレコード演奏中の位置を合わせれば良いのです。

指針の材料は0.075mm厚のPETフィルムを2つに折り、細く切って作りました。折り目は少し戻るのでV字の形になり、上下を逆にして根元側は2つに開いてカンチレバーを挟むようにし、最小限の瞬間接着剤でくっつけます。目盛板はヘッドシェル、またはカートリッジのボディー側から延長します。

この延長カートリッジをMITCHAKU-Zに付け替えればインサイドフォースが発生しないこと、ピアノフォルテでも動きがセンターに留まっているのが分かると思います。お気に入りのカートリッジをMITCHAKU-Zに取り付けて本格的なオーディオで聴けばこれ迄との違いを楽しんで頂けるけるのじゃないかと思っております。

そこで新しい企画として針先から延長したカートリッジと延長した目盛り板とMITCHAKU-Zをセットにして提供できれば面白いかなと思います。今までトラッキングエラーに偏重していて、失われていた重要な点に気が付いてもらえれば、この上なく嬉しいです。セット価格は45,000円+税で30台限定での製造を考えています。

トラッキングエラー理論の歴史

スウェーデンのロフグレン氏は1938年に、また、ドイツのバイエルワルト氏は1941年に、トーンアームのトラッキングエラーと歪みの関係を発表しました。それを基にストレートアームだと外周と内周では歪みが多くなると解釈されました。これはSP時代なので、振幅は大きく、歪みは出やすかったのです。その後はLP時代に入り、溝の微細化とEQカーブの導入もあって振幅は数分の1から10数分の1相当に減ったとされています。仮に10分の1として単純計算をすれば歪みも10分の1に減ると思います。でも、SP時代に築かれたトラッキングエラー理論がそのまま今日まで続いているのが現実です。では、曲げた副作用はなかったのか?というのが0 SideForceの提案でした。

ダイナグルーヴレコードの音について

これはレコードのトレース時に生じる歪みをキャンセルするために、あらかじめレコードの溝を修正しておくという考えのものでした。 しかし、私の印象では、マスターテープやダイレクトカッティングのイメージとは違う方向に聴こえました。現に今ではもう使われていません。まあ技術者さんが頭優先で考えたという印象です。やっぱり音楽好きな人が経験で練り上げたものの方が私には合っていると思いました。

それからカートリッジの修理や針交換をしているお2人に聞きましたが針の片減りは曲がったアームでインサイドフォースキャンセラーを使用しない場合に見られると、はっきり言っていました。これは左右の針圧差によるものなので、0 SideForceは均等に減るということです。

それからスケーティングフォースは回っている平らな盤に針を乗せると内側へ滑ります。これは外側から力が加わったかの様に見えます。

一方、インサイドフォースは内側の壁から外へ押す力です。つまり方向は真逆なのです。しかしアンチスケーティングもインサイドフォースキャンセラーもアームを外へ引っ張ることで、問題解決させる方向は同じになります。これ全く違うものですが、間違いやすくて混同もしやすく何とも面白い現象なので、トーンアームは良く出来た引っかけ問題の宝庫です。溝にハマればスケーティングフォースは消えて、インサイドフォースに切り替わり、両者が同時に存在する事はありません。

最後に堅くない話として、ソニーのTA-1120Fの開発中に試聴していたレコードとして、よく使っていたのがこのオスカー・ピーターソンのプリーズリクエスト、ブルーベックのタイムアウト、エリーアメリンクのカンタータ51番と199番、森山良子のカレッジフォークアルバム、シングルシンガーズとMJQのプレイスヴァンドーム、由紀さおりの夜明けのスキャット、フォーレスシルバーのソングフォーマイファーザー、アーヨの四季 等でした。

今までの理論が正しくなかった理由のまとめ。

1)前提としてカートリッジのコンプライアンスを剛体としている。

2)レコード壁が半径方向に押す力を計算していて、重要なカンチレバーの曲がりを計算出来ていない。つまり従来はサイドフォースと思っていたもの、それ実はradius force(半径方向)であって、side force(横方向)ではなかった。

3)音楽のピアノフォルテによる摩擦の変化も考慮していない。

結論 従来はトラッキングエラー理論に偏重していて、サイドフォース理論は正解ではなく、その手前で留まっていた。理由は真のサイドフォースによるカンチレバーの曲がりは、計算がとてつもなく難しいから。  以上 (2026年8月15日)

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