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オーディオアンプの発熱と消費電力と高調波規格 中川 伸

発熱と消費電力

 不思議なことに、2006年4月1日から中古販売業者であっても製造事業者として登録してPSEマークを貼らなければならないようです。そこには消費電力の表示が必用です。そこで実際のオーディオアンプにおける発熱や、消費電力や、高調波規格についてまとめてみました。先ずは発熱と、消費電力について。

  1. 入力電圧は110Vにて測定をします。つまり電源電圧は±10%ほど変動し、110V時の消費電力の方が100V時より多くなるとの前提に基づいています。日本における電源周波数は、50Hzと60Hzについて発熱と消費電力の不利な方にて測定をします。
  2. 負荷インピーダンスはカタログや取説の表示ではなく、あくまで本体表示です。本体に4Ω〜16Ωと書かれていれば低い方の4Ωで測ります。最近では6Ω表示もあります。何も書かれていなければ8Ωで計ります。つまり、カタログや取説は紛失するかも知れないということでしょうか?
  3. 基準とする最大出力は定格出力ではなく、1kHzで実際にクリップする出力とします。ステレオアンプの場合は2チャンネルを同時に働かせた状態で、5.1チャンネルのものは6チャンネルを同時に働かせた状態です。歪率についての規定は特に無いようですが、歪率1%とするのが一般的なようです。真空管アンプではさらに大きい歪でクリップを始めるものも有ります。ですからカタログに書かれている定格出力とはかなり異なった値になります。このクリップする出力の8分の1の出力時に温度上昇や消費電力を測ります。全チャンネルが歪む寸前で使われることを想定しているのでしょう?
  4. 信号はサイン波ではなく、ピンクノイズを使います。これは統計的に最も音楽信号に似ていると思えるからでしょう。B級アンプではサイン波でもピンクノイズでも殆ど同じ結果になりますが、D級アンプでは異なった値を示すようです。
  5. この時に触れることができる部分の温度上昇分が40℃以下なら温度規格はOKです。つまり、室温20℃なら60℃までOKということになります。しかし、明らかに熱の出口と分かる形状であるなら、つまり、危険を感じさせるような形状なら65℃の温度上昇分までOKです。
  6. 消費電力はこの時の値を表示するのですが、ばらつきなどで表示以上になるといけないので、余裕を見ていくらか多めの値を表示します。

電源高調波電流

 次は電源高調波電流です。電源高調波電流については100Vの電圧にもどし、1kHzでのクリップする出力を測り直します。この8分の1で測定しますが、そのポイントで高調波規格に入っていればOKです。信号原は超低域と超高域をカットしたホワイトノイズを使います。ヨーロッパでは超低域と超高域をカットしたピンクノイズです。どちらのノイズでも大差は生じません。固定の周波数は高調波測定に影響を与えるので使いません。なお、アメリカには高調波規格そのものがありません。日本の規格は2004年5月時点でクラスDなので、75W以下なら何ら対策をする必要がありません。しかし、ヨーロッパではオーディオ機器は甘いクラスAで良いことになりました。日本も国際的な整合性をとる必要性から近いうちにクラスAに変更される予定だそうです。そうなれば、かなり大きい出力のアンプでも特に対策をする必要は無くなります。現実の製品では商用トランスを使ったものはほとんど何もしなくてOKのようです。スイッチング電源の場合は商用周波数で働くチョークを入れて対策をしているものが多いようです。最大出力時はチョークが飽和しても特に問題はありません。PFCまで入っているものは極くまれです。

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